社交ダンスの消費エネルギー

今回は海外の研究結果の紹介。
2001年にイタリアで行われた実験で、競技ダンサーが踊っている時のエネルギー消費について調べたものである。
以下、簡単な和訳。

※この記事へのリンクをどこかに張ったり紹介していただくのは構いませんが、万一転載などの際には必ず私までご一報ください(ないとは思いますが)。


近代の社交ダンスは広く実施されている身体活動で事実上のスポーツ訓練と考えられ始めているが、論文の形で研究されているものは少ない。
この訓練の機能的な型についてさらなる知見を得るため、6組のスタンダード競技ダンサーカップルが試合を模した標準の競技ダンスの順序(MBDseq)で踊ったもので、これには5つの異なる形式のダンス(ワルツ(W)・タンゴ(T)・ヴェニーズワルツ(VW)・フォックストロット(FT)・クイックステップ(QS))が含まれる。
被験者の計測および生理学的特徴は以下の通りであった。

※以下の数値は平均値±標準偏差(値のばらつき具合)である。

年齢:19.3±2.3歳(男性) 19.3±2.9歳(女性)
身長:175.8±6.6cm(男性) 162.5±4.5cm(女性)
体重:69.1±5.8kg(男性)52.9±7.3kg(女性)
最大酸素摂取量:60.9±6.0ml/kg/min(男性)53.7±5.3ml/kg/min(女性)

※最大酸素摂取量とは運動中に体内に摂取することのできる酸素量の単位時間(1分)あたりの最大値である。
 60ml/kg/minあれば優れているとみなしてよいが、1流選手では80ml/kg/minを超える例も報告されているとのこと。
 世界レベルの長距離ランナーで76.9ml/kg/minという例がある。
 参考文献「ストレングス&コンディショニングⅠ 理論編」(NSCAジャパン編)

心拍数と酸素摂取量はすべてのダンスにおいて遠隔計測システム(イタリア製)により記録された。
血中乳酸濃度は休息時、各ダンスの終了時、MBDseqの終了時および回復期に計測された。
MBDseqの各ダンスは1分45秒継続し、ダンス間の休息は30秒継続した。
MBDseqの値は動的期間のみとし、数値は以下の通りであった。

酸素摂取量:45.8±6.0ml/kg/min(最大酸素摂取量に対する割合は75.7±10.6%VO2max、男性)38.0±8.5ml/kg/min(最大酸素摂取量に対する割合は70.8±13.8%VO2max、女性)
平均エネルギー消費(有酸素性エネルギー消費から導き出されたもの):566.2±89.5kJ(男性)360.8±77.7kJ(女性)
乳酸値ピーク:8.5±2.3mM(男性)8.3±3.9mM(女性)

※1 cal(mean)≒4.190 J(ウィキペディアより)
※血中乳酸濃度はサッカーの前半で6~8mMになることもある。
 参考文献「教養としてのスポーツ・身体運動」(東京大学身体運動科学研究室編)

各ダンスを個別に解析すると酸素摂取量は3番目のダンス(VW)まで上昇し、4番目(FT)で下降し、最後のダンス(QS)で再び上昇することがわかり、最も高い酸素摂取量が観察されたのは男性でVW(81.3±8.1%VO2max)、女性でQS(80.1±10.7%VO2max)であった。
高い乳酸産生は最初のダンス(W)で報告され(1.83mM/dance)、おそらくは有酸素性エネルギー消費活動の不活発がもたらしたものであり、乳酸産生はその後4番目のダンス(FT)まで減少し(-0.86mM/dance)、そして最後のダンスで再び最大値まで上昇した(1.82mM/dance)。
そのため最後からひとつ前のダンス(FT)では低い乳酸産生と低い酸素摂取量が観察された。
結論として、今回の結果が示唆するものは近代の社交ダンスにおけるエネルギー消費はMBDseq中ずっと無酸素性および有酸素性代謝において中程度から高いまで幅があり、実施されたダンスによると、Wがもっとも有酸素代謝的なダンスでありQSは有酸素・無酸素両方の代謝を用いるダンスであるということである。

まだまだ和訳が下手だなぁ…。
わかりづらいところなどあればご一報ください。

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