なんプロ番外編 ショートショート:「おのちゃん」
三つ子の魂百までという諺がある。
小さい頃からの性質は年を取ってもそうそう変わらないという意味だ。
自分に引きつけて考えてもなかなか説得力がある言葉だと思う。
親譲りかどうかは知らないが、実際変な性格で子供の時から損ばかりしている。
小学校に居る時分学校の記念文集に「自分の将来は誰にもわからない。ひょっとしたら犯罪者になっているかもしれない」と書いた事がある。
なぜそんなことをしたと聞く人があるかも知れぬ。
別段深い理由でもない。
皆がありきたりのつまらん事を書いているようだから、自分ぐらいは毒にも薬にもならない事を書かんでもよかろうと思っただけのことである。
文集を持って帰って来た時、それを読んだ母がこんな事を文集に書く奴があるかと言ったから、この次はもっと面白い事を書いてみせますと答えた。
嘘である。
いちおうその場は素直に謝った。
その後卒業アルバムに将来の夢「美食家」と書きギリギリの線を狙ったが、どうやらこちらはお咎めなしだった。
そういうわけで自分は今プロのダンサーをやっている。
おわり
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