「東大卒なのになんでダンスのプロなんかになっちゃったの?(仮)」vol.5

 そうこうしているうちに上級生が卒業していき、3年生になった。
いわゆる幹部と言われる存在である。
東大では伝統的に4年と2年、3年と1年が親子代としてペアとなり深く関わるシステムを採用している。
手取り足取り教えてくれた先輩たちがいなくなり、これまで自分たちが受けた恩を1年生相手に返していかなくてはならない。
僕は(ダンスのやりすぎで)留年して時間的余裕があったため、モダン技術部長という練習会を仕切る役割を担当することになった。
練習メニューを考案し、1年生が少しでも効率的に上達できるように知恵を絞るのはかなり大変だった。
自分で言うのもなんだが、東大生は全般的に理屈っぽく自分が納得しない・理解できないことに対しては食い下がってくる人間が多い。
ダンスは素人でも頭脳は手強い後輩たち相手にわかってもらえるように、手を替え品を替えいろいろな説明を考える必要があった。
物事に無駄なことは一つもないというが、この経験は現在ダンスの先生をやる上でとても役に立っている。
 
 3年生になってから、多少ではあるが成績は上向いてきた。
特に1年生のときに2次予選落ちした夏国公立戦で初めて決勝に入れたことは嬉しかった。
子学年のデビュー戦でもあり、モダン技術部長としてのメンツを保てたことにホッとしていたら一年生の女の子に「DOさん(Daisuke Onoなのでこう呼ばれていた。決してDame Otokoではない)がこんなにかっこいいと思いませんでした」と言われたことを今でも覚えている。
彼女はそれまでどんな目で僕を見ていたんだろうか?

Daisuke & Kana

Japanese Professional Ballroom Dancer

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