意味

子供の頃に、最終的に自分の存在が無くなってしまうということに気づいた。
なぜそんな思考になったのか今ではよく覚えていないが、暗くて底知れない、深い穴に吸い込まれて行くような気分になった。
気づいた事実とそれに伴う感覚が、怖くて怖くて仕方がなかったことを思い出す。

あの時と今が違うのは、その事実からなんとなく目を背けて生きていくようになったことだろう。

死というストレスは、あまりに強いものだと思う。
死、特に自分の死に対して、正面からがっぷり四つに組んでいける人間が果たしているのかどうか、僕には分からない。
例えば末期ガンの患者さんのように状況として死と対面せざるを得ない人は何かしらの形で折り合いをつけていくのかもしれない。

これも全て想像の中の話で、こんなことを考えても実際に自分が消えてなくなるとはっきりした時にどんな風に感じて何を思うのかは全く未知のままだ。
子供の時に気が付いた問題を棚上げしてここまでやってきたはいいけど、市三先生の件で改めて突き付けられた。
正直、自分の死どころか市三先生のこともどうやって自分の中で考えたらいいのか分からない。

とにかくはっきりしているのは、自分はいつかいなくなるということだ。
いずれ来るこの難問に、僕はどう向き合うのか。
必ず消滅するのであれば、今の自分の生は何なのか、現実に生を受けているこの時間をどう生きるのか。

なぜ生きているのか。
なぜ生きていくのか。
終わりに何があるのか。

そもそもこういう問いの立て方が間違っているのか。
分からない。
とにかく全く分からない。

意味を求めることが筋違いなのだろうか。
生きる意味は所詮フィクションなのか。
でも、物語で人が救われることは日常茶飯事なんだからそれはそれで「あり」だとも思う。

ならば、僕が僕に語る物語とは何か？
自分が「生きた！」と言える何かとは？
まだはっきりしないけど、それが僕がこうしてダンスをやっている理由なのかもしれない。

市三先生は「舞優院一道厳貫居士」という、何というかそのままの戒名で葬られた。
市三先生はきっと、「俺はダンスに生きた！！」と感じて逝ったのだろう。
何かを見つけられた人が放つ輝きを間近で見られたことを、とても幸せに思う。

僕は、僕のための何かを見つけなければならない。

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